基本の調味料「さしすせそ」の「す」を表すお酢。高血圧を気にして塩分制限の調理を考える私たちには是非とも使いたい調味料の一つです。調理に使えるお酢の種類を分類、お酢の成分や血圧に関係するお酢の効果、お酢を使った調理例などを今回ご紹介したいと思います。お酢といっても種類も豊富で調理によって合わせやすいお酢の種類も違いますので、調理の予備知識として知ってもらえればと思います。

米酢に黒酢、バルサミコ酢。各お酢の種類と成分をご紹介

お酢と言っても実は様々は種類が存在しています。またお酢の製造方法やお酢の原料が違うと成分や酸味などがそれぞれ異なります。お酢の成分が違えば調理への使い方も少し変わってきますので、まずはお酢の種類や成分をしっかり抑えて、調理の予備知識として活かしましょう。

お酢は日本農林規格によって分類分けされていて、お酢自体を「食酢」と呼び、大きくは醸造酢と合成酢に分類されます。醸造酢は更に醸造酢・穀物酢・果実酒に分類されます。

各お酢の種類とは

醸造酢
アルコールが主原料で穀物酢に属さないお酢。トマト酢や柿酢などが醸造酢にあたります。

穀物酢
お米や小麦、大麦を原料として、原料の使用量が1,000mlあたり40グラム以上を使ったお酢を指します。米酢、米黒酢、香醋などが穀物酢にあたります。

黒酢(くろず)
米または米と小麦か大麦を原料として、原料の使用量が1,000mlに180グラム以上の米を使ったお酢を指します。色が褐色なのは発酵・熟成をしているためです。原料の使用量が多いためアミノ酸の量は穀物酢に比べて7倍から12倍ほど多いと言われます。

香醋(こうず)
香醋は黒酢の一種で主原料がもち米やコーリャン(高粱)、麦ふすま(※1)と呼ばれる穀物で製造されたお酢。製造方法は基本的に黒酢と同じですが、製造に原料を多く使うため、香りが高く酸味は強め。そしてアミノ酸の含有量が高いのが特徴です。
※1麦の表皮と胚芽など穀物の外皮

果実酢
果実の使用量が1リットルあたり300グラム以上を使用したお酢。リンゴ酢やバルサミコ酢が果実酢にあたります。

合成酢
酢酸に調味料などを混ぜ合わせて混ぜ合わせたお酢。

各お酢の成分まとめ

調理で身近に使うお酢としては穀物酢、米酢、黒酢、バルサミコ酢、リンゴ酢あたりと思います。この5種類のお酢の成分をグラフでご紹介。

  穀物酢 米酢 黒酢 バルサミコ酢 リンゴ酢
カリウム 4mg 16mg 47mg 40mg 59mg
ナトリウム 6mg 12mg 0mg 29mg 18mg
マグネシウム 1mg 6mg 21mg 11mg 4mg
カルシウム 2mg 2mg 5mg 17mg 4mg
リン 2mg 15mg 52mg 22mg 6mg
タンパク質 0.1g 0.2g 1g 0.5g 0.1g
カロリー 25kcal 46kcal 54kcal 99kcal 26kcal
  穀物酢 米酢 黒酢 バルサミコ酢 リンゴ酢
酸度 2 2 2 3 2
アミノ酸 1 2 3 2 1
クエン酸・糖分 1 1 2 3 1

高血圧予防には嬉しいお酢の効果

お酢の効果は意外と多く、防腐・抗菌作用、食欲増進・疲労回復のサポート、冷え解消、高血圧予防には嬉しい血圧低下と血中脂質の低下など多くの効果が期待できるのですが、今回は特に血圧に関係するお酢の効果を中心にご紹介したいと思います。

お酢の主成分でもある酢酸は体内に取り込まれるとアデノシンという物質が発生し、アデノシンが血管壁に作用して血管を拡張します。血管が拡張されると血液が流れやすくなるため血圧が下がる結果になります。

また体内でコレステロールを生成する肝臓などでお酢の主成分の酢酸がコレステロールの合成を抑える働きがありコレステロールが抑制されると血管内でコレステロールが付着する量が減るため動脈硬化が抑制されると言われています。

ただし!注意が必要。お酢の効果は持続性がないため、基本的に毎日摂取をして体内に取り込む事で効果が持続します。お酢の種類によっても摂取する量が違いますが、一日に必要なお酢の量は大さじ1杯(15ml)から2杯(30ml)と言われています。

高血圧予防に。お酢を使った減塩レシピの紹介

これまでの紹介でお酢にメリットや高血圧予防に嬉しい効果があるのは分かったと思いますが、それではお酢をどうやってレシピに使えばいいのか?各お酢の種類で利用方法が違いますので、お酢別にレシピをご紹介したいと思います。

煮物や酢の物やタレに一滴、穀物酢

米酢や黒酢を含む穀物酢は煮物や酢の物、南蛮漬け等に使うことができます。煮物で言えば手羽先のお酢煮、酢の物はワカメと鶏むね肉の酢の物、南蛮付けも鯖や鯛など魚介類や鶏肉や豚肉を使った南蛮漬けなどにまずは使ってみてはどうでしょうか。

焼き物の仕上げにバルサミコ酢

豚肉や鶏肉、魚のフライパン焼きの仕上げ、キノコ炒めにバルサミコ酢を足すと風味がグッと増します。穀物酢に比べて香りとうま味が強いので、調理後の最後の仕上げに使うと焦げ付かず、風味も楽しめます。またドレッシングを作る場合、カルパッチョの味付けに利用も可能です。

飲み物として使いやすいリンゴ酢

酸味が少ないリンゴ酢はハチミツや炭酸水と混ぜ合わせてソーダ仕立てや水割りで飲むと手軽に摂取ができるお酢です。酢の酸味が苦手という方は酢の物で穀物酢ではなく、リンゴ酢を使うのもいいかも知れません。しかしお酢に含まれるアミノ酸が少ないのが難点です。